清瀬市の根本的な課題
過去も現在もそして未来も、清瀬市の最大の課題は財政難です。
清瀬はなぜ財政が苦しいのか。それには3つの理由があります。まず、南口の病院街は昭和初期に結核の療養所から始まり、その後に一般病院、福祉施設、大学への変遷していったものです。住民数あたりの医療・福祉施設数は全国トップクラスとなりました。いっぽうでこうした施設からは固定資産税がほとんど入ってきません。
また、清瀬駅の北側に広がる広大な農地は清瀬の緑のシンボルでもありますが、農地のほとんどを占める生産緑地は1㎡あたり1円の固定資産税しか入りません。
もうひとつ、昭和40年代に市の周縁部を中心に、都営・公団(UR)・公社住宅が建設されたことで、清瀬市の公的な住宅率は都内で1位になっています。団地の高齢化率は50%を超えています。当然、介護関連の福祉サービス費は膨張します。
自然が豊かで福祉も充実した街ですが、財政面だけを考えると税が入ってこない土地といえます。財政力の弱い自治体には国から地方交付税が交付されますが、100%補填されるわけではないので、どうしても都内の他の自治体に比べると財政の弱さが目立ってしまいます。
地道に行革を進め、市の正規職員が担ってきた業務を民間に委託することで浮いた費用を、福祉や教育に回すことが必要です。
清瀬市の最大の魅力は豊かな自然環境であり、すでに住んでいる住民はこの環境に満足している人がほとんどだと思います。しかし、何もしなければ清瀬市は生き残れません。清瀬、秋津とも駅周辺はもう少し賑わいを作る必要があります。都市計画とは街にメリハリをつけることです。緑を残す部分と、都市機能の利便さを進める部分を分け、税収を上げて少子高齢社会の行政需要に応えていく必要があります。
普通の市民感覚で、税金のムダづかいをなくします。
行政にとって都合の良い税金の使い方ではなく、税金を払う人の感覚を重視します。「昨年と同じことを昨年と同じやり方で」おこなうのが行政の特徴です。これを変えていくためには事業の成果指標を設定し、目的が達成されたか絶えず点検・評価していく必要があります。しがらみだらけの市からの補助金は3年に一度は公開の場で査定し、白紙から見直すべきです。施策の優先順位は、前例踏襲ではなく、“切実さ”と“将来を見据えた”施策を優先するべきです。
地域の人的資源を活かし、在宅中心の地域福祉へ。
私は老人ホームの施設長をしていた経験から、見知らぬ土地の施設での生活よりも、住み慣れた地域で在宅で生活し続けるほうがQOL(生活の質)を高めることができることを実感しています。認知症になっても住み続けられる街にするには、徐々に薄れていく地域のつながりを復権させていく必要があります。また、地域にはこれまで行政化されてこなかっただけで、さまざまな資源があります。NPOやボランティア、専門事業者をはじめさまざまな人的資源のネットワークを活かして地域福祉を進めていきます。
基礎基本の徹底、社会とのつながりを重視した教育へ。
根のない木に花を咲かせることはできません。基礎基本(読み書き算術)の徹底と、学ぶ意欲を身につけるための好奇心を喚起させる教育が必要です。発達に課題がある子、学校が嫌いな子、日本語での学びが困難な外国ルーツの子…。多くの生きづらさを感じる子どもに対してニーズに応じた教育を保障する必要があります。
そして子どもが社会の一員であると自ら実感できるよう、学校だけでなく地域社会のなかで自分の居場所を見つけ、地域の人々と互いに信頼できる関係をつくることが重要です。これらは学校教育と地域教育(社会教育)の融合で可能になることです。
議会改革を進め、活発で機能する議会へ。
議員は名誉職でも特権職でもありません。
地域主権を進めるためには市議会議員にも専門職としての政策立案能力が求められます。議員職は他の事業の片手間にできるほど易しいものではありません。
これからは少数精鋭で、専門性をもった専業議員が求められます。
議会改革は3つの側面から進める必要があります。
1)議会と市民との関係
議会の活動をわかりやすく市民に伝え、市民からの課題を議会に伝えるしくみづくり。(議会報告会、議会による住民アンケート、議会モニターの設置等)
2)議会と市長との関係
市の各種基本計画の議会での議決義務。予算編成における議会からの事前の意見聴取等。
3)議員間の関係
全国の地方議会どこも同様ですが、議員間の議論がほとんどなく、「議員vs市長」の議論ばかりです。予算要求なども各会派(政党)がそれぞれ行っていますが、議会で一度とりまとめ、各議員共通の要求項目については議会の総意として市長に要求する議会になれば、議会の存在は重くなります。